地価ルックレポート(2020年第4四半期)

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国土交通省は24日、全国の高度利用地の地価動向を示す「地価LOOKレポート(2020年第4四半期)」を発表しました。コロナ禍で依然として不透明感は拭えませんが、横浜・川崎は復調の兆しか、他の地区と比較して良い結果が出ているようです。

地価ルックレポート

地価ルックレポートは、国土交通省が四半期毎に発表する地価動向に関するレポートで、全国を広くカバーする地価公示や地価調査と違い、対象を先行的な価格動向を示しやすい高度利用地に絞って、その動向を発表しています。発表は今回で53回目となり、調査対象期間は2020年10月1日~2021年1月1日とされています。ちなみに、本調査の委託先は一般財団法人日本不動産研究所といって、鑑定業界ではNo.1の会社が請け負っているようです。皆さん、「不動研」さんとか「研究所」さんとか呼ぶことが多いですね。

今期の概要(全国編)

今期(2020年10月1日~2021年1月1日)の概況は以下の通りです。

・全国100地区における地価動向は、上昇が15地区(前回1地区)、横ばいが47地区(前回54地区)、下落が38地区(前回45地区)と上昇した地区が前回と比較して増えました。
・変動率区分では67地区が不変、27地区が上昇に転じ、6地区で下落に移行しました。
・住宅地はマンションの堅調な販売状況や事業者の素地取得の動きが回復したことにより、需要が堅調な地区がみられました。
・商業地は、新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテルや店舗等の収益性の低下により下落が継続している地区や、店舗やオフィスの空室が増加し、新たに下落に転じた地区がみられました。

12月末までは比較的堅調に不動産市場は動いていたことを物語っていそうです。ただ、テレワークの浸透や外出自粛の影響は大きく、最近まで好調だった商業地は依然苦戦を強いられているように思えます。

個人的にはネットショッピングの拡大やコロナワクチン用の冷凍冷蔵倉庫で沸く工業地(物流用地)も加えたらより意義があるレポートになるのではないかと思います。

今期の概要(神奈川県)

県内は、商業地は横浜駅西口、みなとみらい、元町、川崎駅東口、武蔵小杉の計5地点、住宅地は都筑区センター南と新百合ヶ丘の2地点、計7地点が対象になっています。市内の中心商業地の概況は以下の通りです。

横浜駅西口地区

横浜駅西口地区の今期の地価動向は0~3%の上昇と、前期の横ばいからプラスに転じました。稼働率は安定的に推移し、オフィス賃料も概ね横ばいで推移しており、横浜駅の有する集客力や再開発事業等による発展性から不動産の取得需要は強く、取引価格は上昇に転じたとのことです。

みなとみらい地区

みなとみらい地区も横浜駅西口地区と同様に今期の地価動向は0~3%の上昇と、前期の横ばいからプラスに転じました。みなとみらい地区のオフィスビルの賃料水準は2020年3月以降ほぼ横ばいで推移しており、11月末時点の空室率も1%超程度。自社ビルが多いため、賃貸オフィスの需給は引き続きタイトな状態が続いており、直近の成約事例も新型コロナウイルス感染症の発生以前と同水準での成約がみられるとのことです。

元町地区

元町地区は他の地区と異なり、前期から継続して0~3%程度の下落となりました。メインストリート沿いの路面店舗は依然として長期空室が確認でき、全体としては厳しい経営環境に大きな影響はなく、収益性の低迷から店舗賃料は下落傾向が続いており、今期の地価動向も下落傾向で推移したとのことです。
元町4丁目のメインストリート沿いでは「クリオ横濱元町通り」が好評のうちに完売しましたが、今後も低層階に店舗、高層階に住宅といった土地利用の転換には中止が必要とのことでした。

神奈川県内の7地点は元町地区を除いて6地点で0~3%の上昇となっています。全国上昇地点は、今期は15地点しかなかったので占有率は40%と他のエリアに比べて好調さが見て取れます。従来の横浜経済は「東京が風邪を引けば横浜も・・・」という状況だったかと思うので、少しづつでもそのような状況が変わってきているのは喜ばしいことですね。ただ、今期の結果は期間的に1月からの緊急事態宣言の影響はおそらく考慮されていないと思われます。次期はこのような影響が織り込まれると思いますので、今後の動向には注視が必要かと思います。

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