神奈川県住宅供給公社は2019年4月24日、以前より公募していた 弁天通3丁目第2共同ビル建替事業における採用企業者(条件付) を鹿島建設と梓設計の設計共同体に決定したと公表しました。
場所は横浜市中区弁天通3丁目と同区太田町3丁目に跨る敷地規模約1,080㎡の土地です。敷地は関内大通りに面し、現在の横浜市役所の一部部署が入る「JNビル(2018年10月期末鑑定評価額9,860百万円)」の北側隣接地になります。

2019年4月25日時点の現地写真です。募集要項によれば、現地において昭和33年から平成27年まで、戦災復興建設事業の市街地共同ビルが建っていた敷地とのことです。この敷地に建っていた市街地共同ビルは、「防火帯建築として都市の不燃化に貢献」、「初のメゾネット住宅」など、神奈川県の戦後建築史にも残るような建物だったとのことです。今では取り壊されて跡形もないですが、googleのストリートビューで過去にさかのぼれば昔の雄姿が今でも見られますので、ぜひ見てみてください。

公表資料によれば、鹿島建設と梓設計の設計共同体は以下のような建物の提案を行ったとのことです。
構 造:鉄筋コンクリート造
規 模:地下1階付地上14階建、
建築面積 836.95 ㎡、延床面積 10,668.06 ㎡
建設戸数等 :賃貸住宅 96 戸、賃貸施設
※提案内容は、今後の行政協議、設計等により変更が生じる場合があります。
募集要項で計画建物内部には、クラシック音楽コンサートを主使用目的とした小規模ホール(座席数60~70席)を地下1階に、 1階に飲食店・店舗を各1区画ずつ、2~3階にクリニック及び提案用途を設置することとされています。現地から2ブロック南に建っている「パークアクシス横濱関内スクエア」が1~3階までが店舗・事務所フロアの地上14階建てになっていますので、大きさ的にはこれと同等程度になるのでしょうか。
住宅部分については40㎡程度の1LDKが30%程度、55㎡程度の1・2LDKが50%程度、65㎡程度の2・3LDKが20%程度と、比較的広めの間取りで構成されるとのことです。なお、「パークアクシス横濱関内スクエア」は現在、50.02㎡、2LDKの間取りで222,000円(管理費込)で募集をかけていますので、本物件の賃料水準の参考なるものと考えられます。
このほか、物件のコンセプトは横浜らしい洒落感、経年劣化しないスタンダードな意匠、健康志向な施設、ペット対応、コンシェルジュによる生活サポートやワークスペース付の住戸を総戸数の約10%程度設置するなどの要望がなされていましたので、これらが計画建物に盛り込まれているものと考えられます。
今回、事業費が公社希望価格と乖離しているため、条件付きの決定となっていますが、今後は当該提案を基に見直しが行われ、2023年6月下旬の引き渡しを目指して事業推進が行われるようです。どのような外観になるのか、今から気になりますね。
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