2020年5月の開業直前でオペレーターが経営破綻し、長らく閉鎖していた「ホテルWBF横浜桜木町」が、2021年6月にブランドを変更した上でついに開業します。

旧ホテルWBF横浜桜木町
概要
「ホテルWBF横浜桜木町」は横浜市中区尾上町6丁目に建設されたホテルです。最寄り駅はJR桜木町駅で徒歩約5分、全277室のホテルです。
物件の概要は以下の通りです。
■件名:(仮称)プレサンスホテル横浜桜木町新築工事
■所在:神奈川県横浜市中区尾上町6-90-1ほか
■用途:ホテル
■構造・規模:鉄骨造地上14階建
■敷地面積:919.81 ㎡
■延床面積:8,284.93 ㎡
■建築主:株式会社プレサンスコーポレーション
■施工主:株式会社森本組
開業間際にオペレーターが経営破綻
本物件の事業主はプレサンスコーポレーション、当初のホテル運営者はWBFホテル&リゾーツでした。2020年3月末の竣工後、2020年5月1日開業の予定でした。竣工後、開業に向けて準備を進めていたところ、オペレーターであるWBFホテル&リゾーツが2020年4月27日に民事再生法を申請。開業に至らず閉鎖となってしまいました。
wikipediaによれば、WBFホテル&リゾーツはインバウンド旅行客を当て込み事業を急拡大させていましたが、物件の自社所有や高額な賃料による出店等で無理な出店計画を行い、新型コロナによるツアー客急減のあおりを受けて民事再生法の申請に至ったとのことです。この前後から大阪の物件を中心に運営を停止するホテルが増え、本物件もそのうちの一つとなりました。
新オペレーターはシンガポール系
新オペレーター
WBFがこのような状況に陥って以降長らく閉鎖状況にありましたが、半年程度かかって後継テナントが決定したようです。
後継テナントはシンガポール系の企業でファーイーストホスピタリティです。このファーイーストホスピタリティは、シンガポールのオーチャードロードを中心に開発を手掛けるファーイースト・オーガニゼイションの子会社であるファーイーストオーチャードのホテル部門で、「オアシア」「クインシー」といったブランドでホテルやサービス付きアパートメントを運営しています。国内では「ファーイーストヴィレッジホテル有明」に続き、日本国内で2件目の出店となります。
客室、共用部
客室はスタンダード(14㎡)、スーペリア(18㎡)、スーペリアプラス(14㎡)、デラックス(25㎡)、デラックスプラス(25㎡)の5タイプです。

画像引用:ファーイーストヴィレッジホテル横浜HP

画像引用:ファーイーストヴィレッジホテル横浜HP
ホテル11~14階には写真のような「ビレッジラウンジ」が設置されています。ラウンジアクセス権の付いた客室の宿泊者専用のラウンジで、アルコール、ソフトドリンク、スナック等が楽しめるとのことです。

ホテルレストランは木を多く使用したデザインになっています。宿泊者の朝食会場にもなるようで、日本食のほか、インターナショナルな各種メニューや横浜ならではの味、ホテルオペレーターの本拠地であるシンガポールのメニューも楽しめるそうです。

ホテルのHPはこちらになります。
ホテルのお値段
本ホテルの事業主はプレサンスコーポレーションでしたが、記事作成時点で建物謄本を取得してみると、所有者は既に別の特別目的会社に移転していました。ですので、プレサンスが開発後にこの特別目的会社に譲渡したものと考えられます。当該取引における売買価格は未公表ですが、プレサンスの2021年度3月期第2四半期発表の「決算ハイライト」を見ると、ホテル販売の項目のうち売上計上予定の欄に「277戸、5,786百万円」の記載があります。断言はできませんが、本ホテルの客室数と一致するので、もしかしたらこの金額が売買価格であったかもしれませんね。1室当たりの価格に直すと約2,090万円程度になります。
現地の写真
最後に現地の写真です。
1枚目は大賀川にかかる橋からの写真です。低中層部のドット的な柄が特徴的です。川や大通りに面しているため日当たりは良好ですね。

JR線線路側から見上げるとこんな感じ。

ちょっと前までは「WBF」とありましたが、今は後継テナントのロゴに置き換わっています。

ホテルエントランス部分。植栽の手入れも行き届いて、まさに開業間近という感じです。

緊急事態宣言、インバウンド消失等で大変な苦境に陥っているホテル業界ですが、このようなご時世の中でもファーイーストのように新規出店に舵を切る会社もあります。ワクチンの普及までもう少しですので、頑張っていただきたいですね。
コメント